仏教の宗派の違いが一目で分かる|焼香回数・数珠・お経の基本と“迷った時の”無難マナー

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「焼香は何回?」「数珠は宗派で違う?」「香典は御霊前と御仏前のどちら?」——葬儀や四十九日、一周忌に呼ばれたとき、たしかに迷います。

本記事は、天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗という“在来仏教”の主要宗派について、教え/本尊(ほんぞん:信仰の中心となる仏・菩薩)/唱える言葉(称名・題目・真言)/代表的経典の違いを「地図感覚」で把握したうえで、焼香回数・合掌・数珠・香典表書きの実務を“今日すぐ使える”形でまとめました。

将来の墓所選びでは、宗派不問の霊園・永代供養・樹木葬という安心材料も中立的に整理しているので、ぜひ参考にしてください。

【宗派の基礎】主要宗派の違いと考え方の大枠

宗派が違うと、教え(往生観・成仏観)/本尊/唱える言葉(南無阿弥陀仏・南無妙法蓮華経・真言など)/代表的経典/作法が少しずつ異なります。

まずは地図のように全体像をつかみ、現場では会場案内・司式者(導師)の指示を最優先にする方針が安心です。

本文では、主要7宗派の「核」となる違いを俯瞰→必要箇所を深掘りできるよう整理しました。

宗派内容
天台宗(最澄)日本仏教の“母体”的位置づけ。法華経を根幹に、幅広く受容。
真言宗(空海)密教。大日如来を本尊とし、真言(マントラ)を重視。
浄土宗(法然)阿弥陀如来の本願を信じ、念仏で極楽往生を願う。
浄土真宗(親鸞)阿弥陀如来の“他力”をより徹底。
禅宗:臨済宗(栄西)・曹洞宗(道元)坐禅・公案/只管打坐を重視。
日蓮宗(日蓮)法華経を根本に、題目「南無妙法蓮華経」。

在来仏教の主要宗派(天台・真言・浄土・浄土真宗・臨済・曹洞・日蓮)

教え・本尊・唱える言葉の基本(読み/意味付き)

  • 天台宗:本尊は釈迦如来(しゃかにょらい)が中心だが、寺院により多様。唱える言葉は場面により「般若心経(はんにゃしんぎょう)」や観音経等の読誦。
  • 真言宗:本尊は大日如来(だいにちにょらい)。光明真言(こうみょうしんごん)「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」等の真言を唱える。
  • 浄土宗:本尊は阿弥陀如来(あみだにょらい)。念仏「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ:阿弥陀仏に帰依しますの意)」。
  • 浄土真宗:本尊は阿弥陀如来。称名念仏「南無阿弥陀仏」を敬虔に唱えるが、作法や礼拝の所作に宗派独自の違いがある。
  • 臨済宗:本尊は釈迦如来が多い。坐禅・公案を重視。読誦は般若心経等。
  • 曹洞宗:本尊は釈迦如来。只管打坐(しかんたざ:ひたすら坐禅)。読誦は般若心経等。
  • 日蓮宗:曼荼羅本尊(題目の御本尊)。題目「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう:法華経に帰依します)」。

代表的な経典(経典名は初出に読み)

宗派経典
天台宗法華経(ほけきょう)、般若心経、観音経 など
真言宗大日経(だいにちきょう)、金剛頂経(こんごうちょうきょう)、諸真言
浄土宗/浄土真宗阿弥陀経(あみだきょう)、無量寿経(むりょうじゅきょう)、観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)
臨済宗・曹洞宗般若心経、金剛経(こんごうきょう) など
日蓮宗法華経(題目はその要諦)

主要宗派×本尊×唱える言葉×代表経典×焼香回数 早見表

宗派本尊唱える言葉の代表代表的経典焼香回数の目安*
天台宗釈迦如来 ほか般若心経などの読誦法華経・般若心経 等2〜3回が多い
真言宗大日如来光明真言など真言大日経・金剛頂経 等3回が多い
浄土宗阿弥陀如来南無阿弥陀仏阿弥陀経・無量寿経 等2回が多い
浄土真宗阿弥陀如来南無阿弥陀仏(称名念仏)浄土三部経1回が多い(額にいただかない)
臨済宗釈迦如来般若心経 等般若心経・金剛経 等1〜2回が多い
曹洞宗釈迦如来般若心経 等般若心経・金剛経 等2回が多い
日蓮宗曼荼羅本尊南無妙法蓮華経法華経1回が多い

※焼香回数はあくまで目安。地域差・寺院方針で異なることがあります。会場指示がある場合は必ず指示に従いましょう。不明時は「周囲に合わせる」または「1回で静かに」も無難。

戒名/法名/法号の呼称差

  • 戒名(かいみょう):在家信者が受ける仏門の名。禅宗・天台宗・真言宗等で用いられることが多い。
  • 法名(ほうみょう):浄土真宗で一般的な呼び方。
  • 法号(ほうごう):日蓮宗などで用いることがある。

授与方法・位号・院号は寺院や宗派により異なるため、具体は菩提寺・司式寺へ確認を。

宗派別 “すぐ使える” 作法チートシート


ここでは焼香回数・数珠・香典表書きを一枚で確認できる形にしました。繰り返しますが、地域差・寺院方針・家の慣習で例外は少なくありません。最優先は会場案内・司式者の指示です。

不明時は周囲に合わせる、あるいは「焼香は1回で静かに」「香典は無難な表書き」を選ぶのが安全です。

宗派×焼香回数の目安×数珠の基本×香典表書きの目安

宗派焼香回数の目安数珠の基本香典表書き(葬儀・通夜)香典表書き(四十九日以降の法要)
天台宗2〜3回略式数珠で可/本式も可御霊前御仏前
真言宗3回略式/本式可御霊前御仏前
浄土宗2回略式/本式可御霊前御仏前
浄土真宗1回(額にいただかない)門徒数珠が本来/略式でも可御仏前が一般的※御仏前
臨済宗1〜2回略式/本式可御霊前御仏前
曹洞宗2回略式/本式可御霊前御仏前
日蓮宗1回略式/本式可御霊前御仏前

宗派によって教えや本尊、※浄土真宗は死即成仏の教義から、葬儀でも「御霊前」を避け「御仏前」や「御香典」を用いることが多いとされます(地域差あり。喪家の指示が最優先)。

焼香回数の目安と地域差

  • 焼香回数は厳格な規定ではなく“傾向”。同じ宗派でも地域・寺院で異なることがある。
  • 柔らかなルール感覚:会場掲示・開式前の案内→なければ喪家・司式者に確認→難しければ周囲の作法を観察。

浄土真宗は1回が多い等の“傾向”と例外

  • 浄土真宗は1回が多い(抹香を額にいただかない)。ただし、地域や家の慣習で異なる場合あり。
  • 真言宗は3回が多い、曹洞宗は2回が多い、日蓮宗は1回が多い——いずれも“多い”傾向として理解。

迷った時の無難策(案内に従う/司式者に合わせる/周囲に倣う)

  • 無表示:1回で静かにでも無難。合掌・礼を丁寧に。
  • 所作はゆっくり・音を立てない・短時間で整うが基本。

数珠の違い(本式・略式/門徒数珠 等)

  • 略式数珠(片手数珠):宗派を問わず参列の無難解。
  • 本式数珠(両手):各宗派の正式仕様。浄土真宗の門徒数珠は珠数・房形に特徴。
  • 購入は「黒・茶系の落ち着いた房」「珠サイズは手に収まる範囲」。男女兼用も可。

貸し借りの可否・持ち方・二連の扱い・かけ方(写真イメージの言語化)

  • 貸し借り:急場では借りてもマナー違反ではない。ただし自分用を用意するのが望ましい。
  • 持ち方:合掌時は親指に軽くかけて両手で丁寧に。手元でじゃらつかせない。
  • 二連:ねじれを直し、房を下に垂らす。手首にぐるぐる巻かない。
  • 預け置き:席では膝上・袱紗の上に整える。

シーン別:通夜・葬儀・法要・納骨の実務


通夜→葬儀・告別式→火葬→初七日→四十九日→納骨という時系列を押さえ、各段階の香典表書きや服装・小物の判断を短く確認します。

  1. 通夜:受付→焼香→短時間滞在。
  2. 葬儀・告別式:開式→読経→弔辞等→焼香→出棺。
  3. 火葬:収骨(拾骨)。
  4. 初七日:地域により葬儀当日に繰り上げることあり。
  5. 四十九日:忌明けの節目。
  6. 納骨:墓所・納骨堂・合祀墓など。寺院・霊園の指示に従う。

香典表書きと包み方

  • 通夜・葬儀:多くの宗派・地域で「御霊前」。ただし浄土真宗は「御仏前」や「御香典」が用いられることが多い。
  • 四十九日以降(年忌法要含む):「御仏前」が一般的。
  • 中袋氏名・住所・金額(旧字体「金壱萬円」等は任意)。
  • 包み方弔事は下包み。水引は黒白(双銀)。地域差あり。

御霊前/御仏前の使い分け(宗派/時期の考え方)

  • 時期軸忌明け前は御霊前、後は御仏前が一般的。
  • 宗派軸浄土真宗は葬儀時から御仏前多い。迷えば喪家の案内に従う。

合掌・礼の仕方・服装の基本(男女・季節・小物)

  • 合掌:胸の前で静かに。礼は浅く一礼
  • 服装:喪服(略礼装)/ダークスーツ。光物・香り強いものは避ける。夏は半袖の肌着+上着で温度調整。
  • 小物:**袱紗(ふくさ)**は寒色・無地。数珠・ハンカチ・予備ストッキング・傘

宗派が分からない/異なる宗派に参列する


宗派不明でも慌てる必要はありません。「会場案内→司式者→周囲」の順で合わせるのが原則です。焼香回数は1回でも無難、数珠は略式数珠で十分。独自作法の持ち込みは避け、写真撮影・私語・スマホ音に注意。ここでは判断フローとNG例をまとめます。

宗派不明時の対応フロ

  1. 案内掲示の有無を確認 → ある:指示に従う
  2. ない:開式前に係へ「焼香は何回ですか?」
  3. 困難:周囲の最初の数人に合わせる
  4. 統一感がない:1回で静かに一礼して席へ

無難に振る舞うポイント

  • 声量は小さく・所作は丁寧に
  • 袖口・バッグで祭壇に触れない。
  • 弔問の言葉は短く。長話は控える。

焼香は1回で静かにが無難な場面も

  • 回数のばらつきが大きい場では、1回で静かにが安全。
  • 額にいただく/いただかないは宗派差が大きい。周囲に合わせる

宗派違いでやってはいけないNG例(独自作法の持ち込み 等)

  • 自宗の作法を強調・説明しはじめる
  • 数珠を鳴らす・投げ置く
  • 大きな私語・着信音
  • 撮影禁止の場での写真・動画。

宗派とお墓選び


檀家・菩提寺がある場合は従来のお墓(菩提寺墓)を中心に、ない場合は宗派不問霊園・永代供養・樹木葬など承継と管理負担の観点から検討できます。将来の家族構成や帰省頻度を踏まえ、アクセス・費用透明性・運営体制を比較しましょう。福岡市内からの移動所要や法要・会食の動線も実務面で重要です。

菩提寺墓/宗派不問霊園/永代供養/樹木葬の比較

項目菩提寺墓宗派不問霊園永代供養樹木葬
宗派寺院宗派に準拠宗派不問宗派不問が多い宗派不問が多い
継承家督中心承継不要タイプもあり原則承継不要原則承継不要
管理檀家制度・寄付等管理料等の契約霊園・寺院が合祀管理樹木の保全・合祀管理
費用墓石・永続管理価格・形態が多様総額が明瞭な傾向総額が明瞭な傾向
供養寺院法要霊園・提携寺院で法要可年忌法要の合同供養等自然回帰志向/合同供養等
向き菩提寺との結びつき重視自由度重視将来負担を軽く自然志向・省メンテ

檀家・菩提寺の関係と改宗の考え方

  • 檀家は日常の法要・供養を託す関係。改宗は家族と丁寧に合意形成
  • 過去の墓所・位牌・過去帳の取り扱いは寺院へ事前相談

宗派不問霊園のメリット(柔軟性/承継・管理負担の抑制)

  • 宗旨宗派不問で受け入れ可。後継者不在遠方在住でも設計しやすい。
  • 永代供養・樹木葬と組み合わせ、費用透明性を確保しやすい。

アクションプラン


今日からできる準備を段階化しました。まずはチートシート保存→参列→必要に応じて見学・比較→家族で合意形成→決定へ。移動や会食の所要時間も見込んで、無理のない当日運営を。

  1. 本記事を保存(焼香・香典・数珠の表)
  2. 参列(会場指示優先)
  3. 見学(運営体制・費用・交通)
  4. 比較(宗派不問/永代供養/樹木葬)
  5. 家族合意決定

見学時チェックリスト(管理体制・雰囲気・費用内訳・交通/福岡の移動目線)

  • 管理体制:永代供養の内容/合同供養の頻度/合祀のタイミング
  • 雰囲気:静謐さ/バリアフリー/待合・控室の使い勝手
  • 費用内訳:永代管理料の範囲/追加費用の有無/返金条件
  • 交通:天神・博多からの往復所要/駐車場台数/雨天動線
  • 当日運営集合→読経→納骨→会食までの移動距離・時間の見込み

宗派と作法に関するよくある質問(FAQ)


Q. 焼香回数は宗派で違いますか?迷ったらどうすれば?

A. 目安の違いはありますが、会場案内・司式者の指示が最優先です。不明時は周囲に合わせる、ばらつきが大きい場は1回で静かにでも無難です。

Q. 数珠は宗派専用が必要?略式でも失礼にならない?

A. 一般参列は略式数珠で十分。本式数珠は各宗派の正式仕様、浄土真宗は門徒数珠が本来ですが、略式でも失礼とはされにくいのが実務です。

Q. 御霊前と御仏前の使い分けは?

A. 忌明け前は御霊前、後は御仏前が一般的。浄土真宗は葬儀時から御仏前が多いとされます。喪家の案内があればそれに従うのが確実です。

Q. 異なる宗派の法要に参列する場合の注意点は?

A. 合わせる原則が基本。自宗の独自作法を持ち込まない所作は静かに短く。焼香回数は会場指示→周囲→1回で静かにの順で判断。

Q. 宗派が分からない時の事前準備は?

A. 案内状・喪中はがきの文言や寺院名を確認。可能なら喪家へ短く問い合わせ。当日は受付・係に聞く周囲に倣うで十分です。

Q. 檀家寺がない場合のお墓の選び方は?

A. 宗派不問霊園・永代供養・樹木葬アクセス・費用透明性・将来の管理負担で比較。運営母体・規約の確認が要です。

まとめ|宗派理解から“無難対応”まで、今日からの実務を支援


宗派の違いは教え・本尊・唱える言葉・経典・作法に及びますが、参列時は会場案内・司式者最優先で十分に対応できます。焼香回数は目安と割り切り、1回で静かにという“無難策”も覚えておくと安心です。

将来の墓所は、宗派不問・永代供養・樹木葬という柔軟な選択肢で負担と安心のバランスを。油山平成御廟のような宗派不問の霊園は、管理体制・費用透明性・アクセスの面で比較検討に値します。

お墓に関する相談は福岡の油山平成御廟へ

当霊園は博多からのアクセスがよく、天神から車で30分と好立地にあります。

弊社では、一般墓や樹木葬などのご案内が可能です。
お墓に関する悩みごとがございましたら、スタッフまでお気軽にお問い合わせください。


ディスクレーマー(免責事項)

作法・表記は地域差や寺院方針により異なる場合があります。最終判断は会場案内・司式者の指示を優先してください。費用・条件は必ず各寺院・霊園にご確認ください。

この記事を監修した人

株式会社江戸や 福岡支社 営業部部長
大塚勝俊

2003年に株式会社江戸やに入社。以来、20年以上にわたり、霊園管理やご供養に関する深い知識と経験を積み重ね、多くの顧客から高い信頼を得ています。

伝統と格式を重んじながらも、供養する人もされる人も安心できる多様なサービスを提供し、現代のニーズに対応した新しい供養の形を追求しています。