菩提寺とは何?檀那寺や檀家との違い・変更方法について解説

「菩提寺とよく聞くけど、どのような意味があるの?」
「菩提寺と檀那寺、檀家など似たような言葉が多くてよく分からない」
「菩提寺を変更したいけど、どうすればいいの?」
菩提寺に関して、上記の悩みや疑問を抱えている方は多くいます。

そこで本記事では、菩提寺とは何か、檀那寺や檀家との違いなどについて解説していきます。
本記事を読むことで、菩提寺の意味や役割、変更方法などが分かるようになるでしょう。

菩提寺についての理解を深めたい方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。

菩提寺とは

菩提寺を知るためにも、意味や役割などについての理解を深めていきましょう。

  • 菩提寺の意味
  • 菩提寺の歴史
  • 菩提寺の役割

菩提寺の意味

『菩提寺』とは、家族や先祖代々のお墓があるお寺のことです。

菩提寺の『菩提』とは、悟りや目覚めを意味する梵語です。
この梵語に漢字を当てはめたものが、菩提だといわれています。

お釈迦様のように悟りを開き、目覚められるよう、願いが込められたお寺が菩提寺の由来です。

菩提寺の歴史

菩提寺の歴史は、6世紀にさかのぼります。
仏教が日本に伝来すると、貴族や武士の間で仏教信仰が広がりました。
一部の貴族や皇族のために建立された寺院が、菩提寺のはじまりだとされています。

江戸時代では、江戸幕府が『寺請制度』を導入しました。
寺請制度により、檀家は必ず菩提寺を持つこととなりました。

現代では、ライフスタイルや価値観の変化により、菩提寺との関係性の希薄化が薄れている傾向があります。
しかし、今もなお菩提寺は、家族とご先祖様をつなげる橋渡し役となっています。

菩提寺の役割

菩提寺の役割はこちらです。

  • 先祖供養の場を設ける
  • 葬儀や年忌法要などを執り行う
  • 行事やイベントを通して、地域の人々をつなぐ
  • 檀家の相談にのる

菩提寺の大きな役割は、先祖供養をおこなうことです。
先祖代々のお墓を守り続けています。
また、葬儀や年忌供養を執り行う際も、菩提寺でおこないます。

菩提寺と檀那寺との違い

『檀那寺』(だんなでら)とは檀家が所属し、経済的な援助をしているお寺のことです。

菩提寺と檀那寺との違いには、下記の2つがあります。

  • 先祖代々のお墓があるのが菩提寺、お墓の有無を問わないのが檀那寺
  • 経済的支援を問わないのが菩提寺、経済的に支援を受けているのが檀那寺

菩提寺には、先祖代々のお墓があります。
また、葬儀や法要を執り行うのも菩提寺です。

一方の檀那寺には、先祖代々のお墓があるわけではありません。
そのため、故人の供養をするといった役割を担っていない檀那寺もあります。
また、お布施などの経済的な支援を受けつつ、宗教活動をおこなっている特徴があります。

菩提寺と檀家との違い

『檀家』とは、特定のお寺に経済的な援助をおこなっている家のことです。
経済的な支援を受けているのは檀那寺です。
この檀家と檀那寺との関係を『檀家制度』と呼びます。

つまり、檀家は支援者であり、菩提寺はお寺を指します。

菩提寺がある3つのメリット

バラの花

菩提寺があるメリットには、下記の3つがあります。

  • お墓の管理を任せられる
  • 困りごとを相談できる
  • 新しいお墓を購入する必要がない

それぞれのメリットについて、順番に見ていきましょう。

お墓の管理を任せられる

菩提寺にお墓がある場合、ある程度の管理をお願いできます。
そのため、お墓に何度も足を運ぶ必要はありません。

困りごとを相談できる

菩提寺では、葬儀や法要に関する相談にのってくれます。

葬儀を執り行うときは、大切な家族が亡くなって、心身ともに余裕がありません。
余裕のない状態で、葬儀の手配をすることは非常に大変です。

もし菩提寺があれば、住職や僧侶に相談することで、サポートを受けられます。
また「頼りになる人がいる」と感じ、心の支えとなるでしょう。

新しいお墓を購入する必要がない

菩提寺には先祖代々のお墓があります。
そのため、新しいお墓を購入しなくてもよい点がメリットです。

お墓を新しく購入する場合、数百万円程度かかるケースは珍しくありません。
また、お墓を建てる墓地を探したり、石材店に依頼したりする手間と時間を節約できます。

お墓を建てる費用に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

お墓・墓石の値段や金額相場を解説!安いお墓など、種類と価格の違いも

菩提寺がある3つのデメリット

菩提寺があると、さまざまなメリットを享受できます。
しかし、いくつかのデメリットがあることも覚えておかなければなりません。
下記の3つのデメリットの内容を把握しておきましょう。

  • 管理費の支払いが発生する
  • 菩提寺以外で葬儀をすると納骨できない可能性がある
  • お墓の承継者が必要である管理費の支払いが発生する

管理費の支払いが発生する

菩提寺があると、管理費の支払いが継続的に発生します。
寺院墓地の場合、1年あたり5千円から2万円程度が管理費の相場です。

管理費はお寺の維持管理に必要な費用として、人件費や修繕費などにあてられます。

菩提寺以外で葬儀をすると納骨できない可能性がある

原則として、葬儀は菩提寺で執り行います。
もし菩提寺以外で葬儀をすると、納骨を断られてしまう可能性があります。

納骨を断られてしまう理由のひとつが、ほかの宗派の戒名がつけられていることです。
もしほかの宗派の戒名がつけられている場合は、戒名の変更を求められるケースがあります。

菩提寺に納骨ができなくなると、法要にも大きな影響を及ぼします。
基本的に、葬儀は菩提寺でするようにしましょう。

お墓の承継者が必要である

菩提寺があると、お墓を承継する『祭祀承継者』の選任が必要です。

近年では、少子高齢化やお墓に対する価値観の変化などの理由によって、祭祀承継者を決めることがむずかしいケースがあります。
また、お墓掃除や管理費の支払いなどの責任が生じることから、祭祀承継者になりたくないと考える方もいます。

関連記事はこちらです。

お墓を相続するのは誰なのか?相続方法や手続き、費用について解説

菩提寺の変更方法

菩提寺を変更する際は改葬をします。
『改葬』とはお墓の引越しのことです。

改葬の手順と流れはこちらです。

1.家族や親族に相談する
2.墓地管理者に相談する
3.納骨先を決める
4.改葬許可申請書を入手する
5.埋葬証明書を発行してもらう
6.改葬許可証を受け取る
7.閉眼供養と墓石の撤去を行う
8.取り出した遺骨を新しい場所におさめる

改葬については、こちらの記事で詳しく解説しています。

改葬とは?お墓の引越しが増えている理由や手続き、墓じまいとの違いを解説

菩提寺がない人の納骨方法

菩提寺がなくても、納骨はできます。
菩提寺がない場合の納骨方法には、下記の2つがあります。

  • 民営霊園や公営霊園を利用する
  • 納骨堂を利用する

民営霊園や公営霊園では、宗派に関係なく利用できるケースがほとんどです。
また、納骨堂は位牌式やロッカー式などの種類が豊富なので、家族の希望条件に合った納骨方法が見つかる可能性があります。

納骨以外には、遺骨を粉末状にして山や海などに撒く散骨や、自宅で供養する手元供養などの方法もあります。
関係者が納得できる納骨方法を選択しましょう。

菩提寺がない人は、こちらの記事を参考にしてください。

菩提寺がない人の納骨はどうすればよい?戒名や葬儀などの疑問も解決します

菩提寺に関するよくある質問

菩提寺に関するよくある質問について回答していきます。

  • 菩提寺がない場合、戒名はどうなるのか
  • 菩提寺の檀家は辞められるのか
  • 菩提寺が分からないときはどうすればよいのか

菩提寺がない場合、戒名はどうなるのか

菩提寺がない場合、戒名をつけなくても問題はありません。

戒名授与サービスを利用すれば、戒名をつけられます。
戒名授与サービスの利用料は2万円程度です。

また、自分で戒名をつけることも可能です。
戒名にはある一定の構成があります。
誰が見ても違和感のない戒名をつけるようにしましょう。

関連記事はこちらです。

戒名の文字数はどの宗派でも同じ?費用や構成を宗派別に解説【曹洞宗・真言宗・浄土宗など】

菩提寺の檀家は辞められるのか

菩提寺の檀家は辞められます。
ただし、檀家を辞める際は引き止められることが予想されます。
まずは相談という形で、檀家を辞めたい旨を伝えましょう。

もし檀家を辞めるのであれば、離檀料を渡すケースが一般的です。
離檀料の相場は3万円から20万円程度です。

菩提寺が分からないときはどうすればよいのか

親が急に亡くなってしまった場合、菩提寺が分からないというケースが考えられます。

もし菩提寺が分からなければ、家族や親族に聞いてみましょう。
そのほかには、地域のお寺に問い合わせる、位牌の戒名を調べるなどの方法もあります。

関連記事はこちらです。

親が亡くなったら檀家はどうなる?菩提寺の調べ方や分からないときの対処法を解説

まとめ

菩提寺は、家族や先祖代々のお墓があるお寺を指します。
お墓の有無を問わず、経済的な支援をおこなっているお寺が檀那寺です。
檀家は菩提寺がある家のことです。

檀家を変更するのであれば、改葬をします。
家族や親族に相談して、遺骨の引越し先を決めます。
行政手続きや墓石の撤去作業をおこない、新しい納骨先に遺骨をおさめることで完了です。

菩提寺との付き合い方は、徐々に変化しています。
菩提寺についての理解を深めてから、付き合い方を判断するとよいでしょう。

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この記事を監修した人

株式会社江戸や 福岡支社 営業部部長
大塚勝俊

2003年に株式会社江戸やに入社。以来、20年以上にわたり、霊園管理やご供養に関する深い知識と経験を積み重ね、多くの顧客から高い信頼を得ています。

伝統と格式を重んじながらも、供養する人もされる人も安心できる多様なサービスを提供し、現代のニーズに対応した新しい供養の形を追求しています。